凡そ1200年の昔、弘法大師が北国へ向かう途中、箱根大地獄谷一ノ瀬で一夜をすごされた時、冠ヶ岳から地獄の苦しみを思わせる叫喚(うめき声泣きわめく声)が夜毎にきこえ、村人も困り果てている話を聞き
1、現世の災難を除き、最上の福を得せしめんことを
2、死後の衆生を導き、安楽浄土に生ぜしめんことを
という二大誓願をたて、〝お地蔵さま″のお姿を刻み、ご回向申しあげたところ、冠ヶ岳の叫喚一時に止み、箱根越えの往来も賑わい、村人の生活の豊かさを増してきたといわれています。
その後、村人はこの〝お地蔵さま″を箱根湯本宿の古堂に祀ってお祈りをつづけてきましたが、永禄12年(1569)香林寺の第9世理琴文察大和尚が、弘法大師の二大誓願を西湘一円に広めようと発願し、現在地に身丈8尺の大坐像をつくり、その懐中にご本尊を遷座いたしました。それ以来、約440年の長きにわたり、多くの人びとの信仰を得て現在に至っております。